デイサービス(通所介護)とは?サービス内容や費用、メリット・デメリット、選ぶポイントをご紹介

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ビジネスパーソンの皆さまが、「いざ親の介護をしなければ」と意気込んだものの、家族だけでは対応しきれないことも出てくるものです。

そんなとき、みなさまの介護をサポートしてくれるサービスのひとつが、今回ご紹介する「デイサービス(通所介護)」です。

それではデイサービス(通所介護)の具体的なサービスの内容や利用条件はどうなっているのでしょう。

サービス内容だけでなく費用も気になりますし、他にある介護サービスとの違いも気になるところです。そんな「デイサービス」に関する、あれこれを解説します。

デイサービスとは?

デイサービス(通所介護)は要介護認定を受けた方が、通いで利用できる介護サービスです。

利用者は通所介護の施設(利用定員19名以上のデイサービスセンターなど)に通うことで、以下のようなサービスを受けることができます。

【デイサービス(通所介護)で受けられるサービス】

  • 食事や入浴といった日常生活の支援
  • 生活機能向上を目的とした機能訓練や健康チェック
  • 利用者同士の交流 など

利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるように、利用者自身の心身機能の維持や孤独感の解消、家族の介護負担を軽減してくれるサービスを受けることが可能です。

介護保険法における定義

介護保険法において、デイサービス(通所介護)は「居宅サービス」に分類され、以下のように定義されています。

【介護保険法 第8条の7】

「通所介護」とは、居宅要介護者について、老人福祉法第五条の二第三項の厚生労働省令で定める施設又は同法第二十条の二の二に規定する老人デイサービスセンターに通わせ、当該施設において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うこと(利用定員が厚生労働省令で定める数以上であるものに限り、認知症対応型通所介護に該当するものを除く。)をいう。

また、通所介護サービスを提供するために必要な人員や設備に関する基準は、以下のように設定されています。

◆人員基準

人員 基準詳細
生活相談員 事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1以上(常勤換算方式)
(生活相談員の勤務時間数としてサービス担当者会議、地域ケア会議等も含めることが可能)
看護職員(※) 単位ごとに専従で1以上
(通所介護の提供時間帯を通じて専従する必要はなく、訪問看護ステーション等との連携も可能)
介護職員(※) ① 単位ごとにサービス提供時間に応じて、専従で次の数必要(常勤換算方式)
ア 利用者の数が15人まで:1以上
イ 利用者の数が15人を超す場合:アの数に利用者の数が1増すごとに0.2を加えた数以上
② 単位ごとに常時1以上配置されること
③ ①の数および②の条件を満たす場合、当該事業所の他の単位における介護職員として従事することができる
機能訓練指導員 1以上

※生活相談員または介護職員のうち、1人以上は常勤
※定員10名以下の地域密着型通所介護事業所の場合、看護職員または介護職員のいずれか1名の配置で可(常勤換算方式)

◆設備基準

見出し 項目
食堂 それぞれに必要な面積を有するものとし、その合計した面積が利用定員×3.0㎡以上
機能訓練室 それぞれに必要な面積を有するものとし、その合計した面積が利用定員×3.0㎡以上
相談室 相談の内容が漏洩しないように配慮されている

※指定通所介護事業所と指定居宅サービス事業所が併設している場合、かつ利用者へのサービス提供に支障がない場合は、基準上のサービスに規定があるもの、および規定はないが設置されるものは共用可

デイサービスのサービス内容

サービス 内容
入浴介助 介護スタッフの介助を受けながらの入浴が可能。
中には寝たまま入浴できる機械浴がある施設もあります
排せつ介助
食事 栄養バランスの取れた昼食などが提供されます
機能訓練 日常生活で必要な動作の維持や改善を目的として、機能訓練指導員の下で歩行訓練や体操を行います
健康チェック 看護師による療養の世話と診察の補助を受けることができます(医療行為を受けることはできません)
趣味やレクリエーション 他の利用者との交流を通じて、孤独感を解消。よい刺激を受けることが可能です

このように利用者の心身の健康を支援するばかりでなく、介護する家族の負担が軽減されるサービスを受けられます。

デイサービスの利用条件

デイサービス(通所介護)は、以下の条件を満たす方が利用することができます。

  • 要介護1~5の介護認定を受けている方
  • 65歳以上の高齢者

要支援1・2の認定を受けている方は、原則としては要介護者と同様のデイサービスは利用できません。

しかし、地域支援事業に含まれる「日常生活支援総合事業」の対象となっている施設であれば利用可能です。

その場合、要支援者は要介護者と同じデイサービスを利用できますが、利用条件や利用回数等が要介護者と異なります。

デイサービスにかかる費用

デイサービスの利用を検討して調べてみると、施設ごとや内容によって料金が変わることに気づかれることでしょう。

実際には、デイサービス(通所介護)の費用は、条件の組み合わせによって実にさまざま。

利用する方の「要介護度」や「利用する時間の長さ」「サービスの種類」「施設のある地域」などによって変わってきます。

利用時の費用の内訳

デイサービスの利用料金は、大きく分けて二つに分類することが可能です。

  1. 介護保険が適用されるサービス(1~3割負担)
  2. 介護保険が適用されないサービス

【介護保険が適用されるサービス(1~3割負担)】

・利用料:デイサービスへの送迎や滞在、レクリエーション参加への費用

◆通常規模型通所介護(ひと月の利用者数が301名以上750名以下)の利用料
(1回利用につき) 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
3~4時間未満 368円 421円 477円 530円 585円
4~5時間未満 386円 442円 500円 557円 614円
5~6時間未満 567円 670円 773円 876円 979円
6~7時間未満 581円 686円 792円 897円 1,003円
7~8時間未満 655円 773円 896円 1,018円 1,142円
8~9時間未満 666円 787円 911円 1,036円 1,162円

※1単位10円の場合

◆地域密着型通所介護(定員18名以下の小規模デイサービス)の利用料
(1回利用につき) 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
3~4時間未満 415円 476円 538円 598円 661円
4~5時間未満 435円 499円 564円 627円 693円
5~6時間未満 655円 773円 893円 1,010円 1,130円
6~7時間未満 676円 798円 922円 1,045円 1,168円
7~8時間未満 750円 887円 1,028円 1,168円 1,308円
8~9時間未満 780円 922円 1,068円 1,216円 1,360円

※1単位10円の場合
※住んでいる地域によって単価は変わるため、ご注意ください

・サービス加算:入浴介助など特定のサービスに対して加算される費用

サービス加算 一例
個別機能訓練加算Ⅰイ:56円/回
認知症加算:60円/回
個別機能訓練加算Ⅰロ:85円/回
栄養改善加算:200円/回
入浴介助加算Ⅰ:40円/回
口腔機能向上加算:150円/回

【介護保険が適用されないサービス】

費用項目 詳細
食費 昼食やおやつなどの提供にかかる費用(目安500円~1000円/回)
その他 おむつなど日用品・消耗品にかかる費用(私物を持参すれば無料)

月額費用の内訳

デイサービスの利用により発生する月額費用の内訳は、

「利用料」+「サービス加算」+「食費」+「その他」

この合算により請求されることになります。介護度や利用時間などを組み合わせながら、費用を概算してみましょう。

(例)「通常規模型通所介護」を「要介護3」の利用者が「1回5時間」「+入浴介助」で利用する場合

1回あたり=利用料567円+入浴介助加算40円+食費1,000円=1,607円

地域にもよりますが、デイサービス1回の利用料金はおおむね1,000円~2,000円程度。

この金額に月当たりの利用回数を掛けた額が、月額費用となります。

自己負担額

65歳以上の方が介護サービスを利用する場合、自己負担割合は所得などの条件に応じて料金の1割・2割・3割のいずれかと定められています。

デイサービスのメリットは?

メリット①/他者との交流で精神的な健康を維持

高齢になり人との交流も減少することが、引きこもりや認知症の引き金になることも。他者との交流により刺激を受け、生活に変化やメリハリが生じる効果をもたらします。

メリット②/クオリティ・オブ・ライフを向上

快適な入浴や栄養バランスの取れた食事、趣味やレクリエーションで楽しむ時間など。生活の質(QOL)を向上させ、生活リズムを整えることが可能です。

メリット③/機能訓練により、自分で動ける体を

歩行訓練やラジオ体操、脳トレゲームなどを通じて身体機能の低下を軽減。介護スタッフや機能訓練指導員の下、安全に身体的健康の維持・向上を図れます。

メリット④/家族の負担を軽減

毎日続く介護の日々において、介護者がひととき息抜きできる時間を設けることが可能です。入浴介助などを活用することで、介護負担の軽減にもつながります。

デイサービスのデメリットは?

デメリット①/費用の負担が大きくなることがある

利用時間の長さや頻度、介護度によっては費用負担が大きくなる場合があります。食事負担など、介護保険が適用されない費用もあることを念頭に置きましょう。

デメリット②/通所がストレスになる場合がある

入力や食事、送迎などのサポートを受けることに慣れていない人は、「申し訳ない」とストレスを感じるケースがあります。利用者の意見にも耳を傾けた選択が肝要です。

デメリット③/「合わない」と感じる施設に通うと…

施設の雰囲気や運営の仕方がマッチせず、通うことが苦痛になる場合も。事前に見学会や体験会に参加することで、ミスマッチのリスクを減らしましょう。

他の介護サービスとの違い

メリット デメリット
デイサービス 施設に通って入浴や食事、リハビリテーションやレクリエーションのサービスを受けられる。
施設の数も多く、自分に合う施設を選択できる。
施設のスケジュールに沿ってサービスが提供されるため、自由度が減る一面がある。
泊りでデイサービスを利用する際は、介護保険は適用されない。
デイケア 医師の指示の下、リハビリ専門スタッフの指導を受けられる。
本格的なリハビリに取り組むことができ、短時間(1~2時間)の利用も可能。
医師の指示が必要なため、利用開始までに時間がかかる場合あり。
施設数も限られるため選択肢が狭くなり、かつ費用もデイサービスより高額。
訪問介護 リラックスできる自宅にて、サービスを受けることができる。
個人への対応になるため、利用者の生活リズムに応じて、個別に最適化された対応をしてもらいやすい。
自宅でのサービスになるため、専門的なリハビリや多様な栄養管理といった多様なサービス提供ができないことも。
社会的な交流もげんていされてしまう。
ショートステイ 泊りでの介護サービスが必要な際、介護保険適用の下で利用ができる。
個室など、プライバシー確保も留意された環境が利用できる。
ケアプランに沿った定期利用が主となるため、早めの予約が必須。
施設自体も少ないため、や役自体がとりにくい面も難点となる。

デイケアとの違い

比較項目 詳細
デイケアのサービス内容 医師の指示の下で、専門的なリハビリや健康管理といった医療的サポートを受けられます。
利用目的 自立した日常生活の支援を主とするデイサービスに対し、デイケアは身体機能や認知機能の回復を目的としています。
利用対象者 医師や理学療法士、作業療法士といったリハビリの専門職による、本格的なリハビリを受けたい方が対象です。

デイサービスでは受けることができない、本格的な医療サポートを求めている方向け。

費用 いずれも介護度に応じて介護保険が適用され、一部負担金で利用可能です。

サービスの内容に準じて、デイケアの方が若干高額になっています。

デイケアの要介護度 要支援1~2、および要介護1~5の方を対象としています。
スタッフ(所持資格の違い) 医師や、医学療法士・作業療法士といったリハビリの専門職のスタッフが在籍。

訪問介護との違い

比較項目 詳細
訪問看護のサービス内容 利用者の自宅へ介護スタッフが訪問し、身体介護や生活援助、通院等乗降介助などを行うサービスです。

薬の受け取り代行や調理・掃除・洗濯といった生活援助にも対応してもらえます。

利用目的 自宅というリラックスできる環境で、生活リズムに合わせた介護サービスを受ける生活支援を目的としています。
利用対象者 施設への移動や環境への適応が難しい方、自宅での生活を維持しながら柔軟なサポートを受けたい方におすすめです。
費用 7時間の利用で1,000円~2,000円程度の負担となるデイサービスに対し、訪問介護では60分以上90分未満で600円程度です。

生活援助・身体介護・乗降時介助など、組み合わせで費用は変動するため、事前の確認が大切です。

訪問看護の要介護度 デイサービス同様、要介護1以上の方が利用できます。
スタッフ(所持資格の違い) 訪問介護法でいう「訪問介護員」、一般に「ヘルパー」と呼ばれるスタッフが訪問してくれます。

名称は異なりますが、デイサービスで対応してくれる「介護スタッフ」と同じです。

ショートステイとの違い

比較項目 詳細
ショートステイのサービス内容 食事介助や入浴介助、排泄介助、リハビリテーション、レクリエーションといったデイサービスで受けられるサービス。

これらを宿泊込みで利用できます。数日から利用が可能で、~30日までは介護保険適用で利用可能です。

利用目的 介護者が急な体調不良や冠婚葬祭などで介護ができなくなった際に、介護者のサポートをする目的で活用されます。
利用対象者 65歳以上の方が利用できます。

また利用にはケアマネージャーによるケアプランが必要です。

費用 全額自己負担となる「お泊りデイサービス」に対し、ショートステイは介護保険が適用されます。

1泊2日で3,000円~8,000円程度が相場。

食事や入浴の介助費用を基本料金とし、

サービス加算費用、介護保険外費用(食費や滞在費・日用品費)を加えた額が費用として必要です。

ショートステイの要介護度 「65歳以上で要支援1~2および要介護1~5の方」

「40歳~65歳で特定疾病による要介護認定を受けた方」

を対象としています。

スタッフ(所持資格の違い) 短期入所療養介護の施設を選んだ場合は、医師も在籍しており医療ケアも受けることが可能です。

デイサービスを選ぶ時のポイント

ポイント①/今、必要としているサービスは何か考える

比較を見てわかるように、サービスごとに特徴は異なります。

利用者の方、介護者の方それぞれが「必要なサービスを受け取る」ことが重要です。

自立した生活を続けることを目的とする方であれば、デイサービスの選択が吉と出るでしょう。

ポイント②/費用がどれくらいかかるか確認する

自宅から通うことで利用するデイサービスは、入居や訪問が必要な他介護サービスと比較して費用を安価に抑えることが可能です。

利用したい「サービス加算」も考慮しつつ、他サービス利用時との費用対効果を検証しましょう。

ポイント③/見学やお試し利用を活用する

何より大事なのは、利用者が「通いたい」と感じる施設かどうか。

後から「こんなはずじゃなかった…」は絶対に避けたいものです。

事前の施設見学や利用体験があれば、ぜひ利用者の方を誘って積極的に参加しましょう。

デイサービスを利用するまでの流れ

【STEP.1】要介護認定の申請

原則として、要介護認定を受けていることがデイサービスの利用条件です。

認定を受けていない場合は「各自治体の窓口」あるいは「地域包括支援センター」での申請を行ってください。

家族による代理申請も可能です。

【STEP.2】認定

調査員による聞き取りや主治医の意見書を基に一次・二次判定が行われます。

審査結果に基づく介護度認定は、申請から約1カ月程度で通知されます。

【STEP.3】ケアプランの作成

認定された要介護度を基に、ケアマネージャーにケアプラン(介護サービス計画書)の作成を依頼します。

利用者および介護者の希望・要望、困っていること、介護サービスを利用して実現したいことなど。

細かなことまでケアマネージャーに伝えることが大切です。

【STEP.4】施設の選択

ケアプランに基づいて、利用するデイサービス施設を選びます。

サービス内容や費用、施設の雰囲気や特徴など、気になることは全て確認しておきましょう。

迷うことがあれば、ケアマネージャーに相談してみるのもおすすめです。

ビジネスパーソンのみなさまへ

このようにデイサービス(通所介護)の特徴は…

  • デイサービス(通所介護)は、要介護1~5の介護認定を受けている、65歳以上の方が利用できる介護サービスです。
  • 利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるように。利用者自身の心身機能の維持や孤独感の解消、家族の介護負担を軽減してくれるサービスが特徴です。
  • デイサービス1回の利用料金はおおむね1,000円~2,000円程度。介護保険が適用され、通いで利用するサービスのため比較的安価に利用可能です。

利用者の自立した日常生活の継続を大事にしたい。介護サービスの利用により、今後の介護も無理なく続けたい。費用も可能であれば少しでも抑えたい。

こうしたニーズをお持ちの方であれば、デイサービスがマッチすることでしょう。利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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ケアコンパス編集部

ケアコンパス編集部

ケアコンパスは、日本の超高齢化社会において今後増えるであろうビジネスケアラーのみなさまのために、介護リテラシーの底上げを目指します。 ビジネスケアラーのみなさまの介護の悩み・課題を解決するためのコンテンツを随時発信していきます。

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